ISBN-46

2009年は投資のチャンスの年だろうと思っている。

 昨年の相場と世界経済の展開は、1990年代の日本をVTRの早回しで見ているような感じだった。昨年初が1991年くらいの感じで、5月くらいに少し景気が回復し掛かった1995年くらい、しかし9月に一気に1997年(11月に山一が自主廃業を発表した年だ)を経過して、目下1998年から199年という感じだ。
 1998年には、にわか仕立ての奇妙な委員会のお墨付きで「大手行は健全だ」としながらも大手銀行に公的資金を注入したのだが、これが信用されるに至らず、長銀が潰れた。1990年以降、年度ベースで日本は3回のマイナス成長があるが、1998年度が一番悪くマイナス1.5%だった。
 来年の経済見通しは、今のところ、政府が0.0%(実質成長率。名目は0.1%。努力目標という感じだろうか)だが、民間のエコノミストの予想はマイナス1%近辺に集中している。確かに、2009年は、他の先進国が日本並み或いはそれ以上に悪い見通しでもあり、1998年並のマイナス1.5%程度の状況になってもおかしくない。
 だが、ここで、90年代を振り返ると、安くなった資産を買って儲けようという人にとって、最大のチャンスの年は99年だった。典型的には、サービサー(債権回収業者)が金融機関から不良債権をバルクで買って、この担保不動産がその後の収益源になったのだった。
 この99年に相当するタイミングが「今」なのか、「数ヶ月くらい先」なのかはよく分からないのだが、そろそろチャンスへの感度を高めるべき時だろう。

 次のような状況を見ると、チャンスの接近を感じる。
 お名前はあげないが、かつて構造改革を推進し、財政政策など役に立たないと広言していたような偉い経済学者さん達が、ある人は「新自由主義を反省」し(自由主義者にとっては迷惑だ)、別の人は「需要が(主に輸出が)落ち込んでいるので、大型の財政支出が必要だ」(今までの意見の前提と何が違うのだろうか?)と言い出す始末で、なにやら心許ない(ただし、堂々と転向できることはご立派だと申し上げておく)。
 些か非論理的で恐縮だが、この種の頑固者が、たとえば右から左に「転向」する時には、世の中はもうそれ以上左には進まないものなのだ。
 彼らは、たぶん、トヨタが赤字を出すような状況を見て、気が動転してしまったのだろう。

山崎元「投資チャンスの年としての2009年」

http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/b313f4945508bf8ed22b710145ef956e